この記事では、ロボットを構成する3つの要素技術「知能・制御系」「センサー系」「駆動系」を全て搭載可能なロボット本体の組立方法について書いています。
3つの要素技術について、詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
この記事ではロボット製作を思い立ってから実施した事前調査の内容と、それを踏まえて購入したものについて主観的な意見を交えてお伝えします。 ロボット製作を行う上で、「ロボットとは何か」ということをまず調査しました。 [adcode][…]
ポイントとしては、以下の2点を挙げています。
- 特殊な工具を使用しない点
- 配線にはんだ/はんだ小手を使用しない点
①はタイヤ社製の市販品を使用することで実現しています。タミヤ社が出している「ロボット工作シリーズ」では、ほとんどのパーツがコンパチブルなものとなっていて、パーツの組み合わせを変えることで形状や寸法が調整可能です。また、一度組み立てたパーツをばらして、再度組み立て直すことも容易です。
②は穴に部品を差し込むだけ電子回路の製作が可能なブレッドボードを使用しています。
本体の組み立て、配線が容易なため、以下のような方におススメな方法となります。
- ハードウェアの設計・組立に時間と労力を割きたくない方(ソフトウェア開発がメインで実験用としてハードを即席で用意したい方)
- 安全、かつ確実な組立方法を実践したい方(子供の夏休みの自由研究や、自分の勉強用などで初めてハードウェア製作に触れる方)
ロボット本体のパーツとして、購入した商品については以下のページでも紹介していますので、ご覧ください。
この記事ではロボット製作を思い立ってから実施した事前調査の内容と、それを踏まえて購入したものについて主観的な意見を交えてお伝えします。 ロボット製作を行う上で、「ロボットとは何か」ということをまず調査しました。 [adcode][…]
1. ギアボックスの組み立て
- 商品名: タミヤ 楽しい工作シリーズ No.168 ダブルギヤボックス 左右独立4速タイプ (70168)
- 特徴: DCモータが二つ同梱されており、この商品と電源のみで二輪駆動の「駆動系」が実現可能です。
後述するユニバーサルプレートには付属の「ビス」と「ナット」で接合可能です。 - 使用する道具: 「プラスドライバー」「ニッパー」「カッター」
- 組立方法: 同梱の取扱説明書に従うのみのため割愛します。プラモデルと同じようにパーツを切り離し、組み立てるのみです。
- 注意点: 非常に小さいパーツもあり、予備パーツも同梱していないため、パーツの管理は慎重に行う必要があります。また、パーツを切り離した際に「バリ(不要な突起)」を残した状態ではパーツ同士が上手く噛み合わないことがあります。さらに「バリ」はケガのもとになる可能性もあるため、「ニッパー」や「カッター」で「バリ」は予め取る必要があります。
- 写真(左:内容物、中:組立準備、右:完成品):
2. ボールキャスターの組み立て
- 商品名: タミヤ 楽しい工作シリーズ No.144 ボールキャスター 2セット入 (70144)
- 特徴: ボールキャスター用の部品が二つ含まれており、二種類の高さ(25mm、35mm)が組立方法により選択可能です。
後述するユニバーサルプレートには付属の「ビス」と「ナット」で接合可能です。 - 使用する道具: 「プラスドライバー」「ニッパー」「カッター」
- 組立方法: 同梱の取扱説明書に従うのみのため割愛します。プラモデルと同じようにパーツを切り離し、組み立てるのみです。
- 注意点: ギアボックスと同様
- 写真(左:内容物、中:組立準備、右:完成品):
3. ギアボックス・ボールキャスターのユニバーサルプレートへの組み付け
- 商品名: タミヤ 楽しい工作シリーズ No.157 ユニバーサルプレート 2枚セット (70157)
- 特徴: 直径3mmの穴が5mm間隔で開けられているプレートで、直径3mmの「ビス」「ナット」「プッシュリベット」を使用して
簡単にパーツの取り付けが可能です。また、「アングル材」と「シャフト固定用の軸受け」を使用し、2枚のプレートを接続し拡張可能です。 - 使用する道具: 「プラスドライバー」「ニッパー」「カッター」「トンカチ」
- 組み付け方法(ギアボックス):
ユニバーサルプレートの一部を切除し、組み付け用パーツを使用して組み付けます。
手順はギアボックスの取扱説明書に記載してあり、組み付け用パーツはギアボックスのパーツに同梱しています。
- 組み付け方法(ボールキャスター):
任意の場所に「ビス」「ナット」を使用して組み付けます。「ビス」「ナット」はボールキャスターに付属しているものが使用可能です。
- 組み付け方法(2枚のプレートの接続):
付属の「アングル材」「シャフト固定用の軸受け」「プッシュリベット」を使用して、2枚のプレートの接続します。
- 注意点: ギアボックスを取り付けるために、プレートの端を切除する必要があります。そのため、予めギアボックスの取り付け位置を決めておく必要があります。
4. タイヤのギアボックスへの組み付け
- 商品名: タミヤ 楽しい工作シリーズ No.101 トラックタイヤ 36mm (70101)
- 特徴: 同シリーズのギアボックスのシャフトに直接組み付けが可能です。
- 使用する道具: 「ニッパー」「カッター」
- 組立方法: 同梱の取扱説明書に従うのみのため割愛します。プラモデルと同じようにパーツを切り離し、組み立てるのみです。
- ギアボックスへの組み付け方法: ギアボックスの両端から伸びているシャフトにタイヤを差し込むのみで、組み付け可能です。
- 注意点: ギアボックスと同様
- 写真(左:内容物、中:組付準備、右:完成品):
5. 電池ボックスの組み立て
- 商品名: Ecool 電池ケース 電池ホルダー 電池ボックス ワイヤ 単3形*3本 2個入り
- 特徴: 電池ボックス1つで4.5V電源、電池ボックス2つを直列で接続することで9.0V電源が実現可能です。
- 使用する道具: 「養生テープ」
- 組立方法: 同梱の取扱説明書に従うのみのため割愛します。プラモデルと同じようにパーツを切り離し、組み立てるのみです。
- ギアボックスへの組み付け方法: ギアボックスの両端から伸びているシャフトにタイヤを差し込むのみで、組み付け可能です。
- 注意点: スイッチ部分、電池ボックス下部の金属線部分がむき出しになっているため、ショートしないように養生テープなどで保護する必要があります。電池ボックス2つを接続する際には正極(赤線)と負極(黒線)を接続する必要があります。単三電池は付属していないため、別途購入する必要があります。
- 写真(左:内容物、中:電池ボックスの接合・保護、右:完成品):
6. Raspberry Pi本体の組み付け
- 商品名: Raspberry Pi3 Model B ボード&ケースセット 3ple Decker対応 (Blue)
- 特徴: 付属の接合ピンを使用して、ユニバーサルプレートとRaspberry Piの本体ケースを直接接合可能です。
- 使用する道具: なし
- ユニバーサルプレートへの組み付け方法: Raspberry Piの本体ケースの底面に空いている穴に付属のピンの短い方を差し込み、プレートに押し込みます。
- 注意点: 組み付ける位置によってはピンとギアボックスやタイヤが干渉する可能性があります。そのため、干渉しない位置に取り付けるか、ピンを間引くなどの工夫が必要になります。
- 写真(左:組付準備、中:本体ケースへのピン差し込み、右:プレートへの組付):
7. モータドライバのRaspberry Pi本体への組み付け
- 商品名: 2-WayDCモータドライバボード モータードライバーボード Raspberry Pi用 I2Cインターフェース駆動モーター PWM Dual H-Bridge ラズベリーパイゼロ/ゼロW/ゼロWH/2B/3B/ 3B+
- 特徴: Raspberry Pi用に設計されたボードで、背面のピンソケットをRaspberry Pi本体のピンヘッダに直接差し込むのみでI2C通信が可能になります。
また、ボードのVINをバッテリに接続することでRaspberry Pi本体や接続したモーターへの給電が可能です。 - 使用する道具: なし
- Raspberry Piへの組み付け方法: 40ピンリボンケーブル(※)を使用して、ボードとRaspberry Piのピンヘッダ同士を接続します。
(※)Kuman社の電子工作入門キット(35個)の付属品 - 注意点: ピンヘッダの対応関係を間違えるとRaspberry Piが故障する恐れがあります。ボード背面のピンソケットをRaspberry Pi本体のピンヘッダに直接差し込んだ時に、ボードがRaspberry Pi本体の内側にくる向きが正しい対応関係になります。
- 写真(左:Raspberry Piへの40ピンリボンケーブル接続、中:組付準備、右:モータドライバへの40ピンリボンケーブル接続):
8. ブレッドボードのユニバーサルプレートへの組み付け
- 商品名: HiLetgo® 5個セット 400穴 ミニブレッドボード 実験用ボード 8.5*5.5 CM ニューブレッドボード
- 特徴: 電源・通信線、回路素子をブレッドボード上の穴に差し込むのみで簡単な電子回路が製作可能です。
はんだ付けが不要で配線のやり直しが可能なため、試作用・個人用に最適です。 - 使用する道具: なし
- ユニバーサルプレートへの組み付け方法: ブレッドボード背面の両面テープで接合するのみです。
- 注意点: ブレッドボード背面側の粘着力が弱く、外側の粘着力が強いため、両面テープの貼り直しは困難です。そのため、予め貼り付ける箇所を決めておく必要があります。
- 写真(左:組付準備1、中:組付準備2、右:ユニバーサルプレートへの組み付け):
9. モータ・モータ用電源(電池ボックス)の組み付け
- 商品名: 本ページの1章、5章、7章、8章で掲載したもの
- 特徴: ブレッドボードとモータドライバーボードを使用することではんだを使用せずに配線が可能です。
- 使用する道具: 「ラジオペンチ」「マイナスドライバー」
- モータ用電源(電池ボックス)のモータドライバーボードへの組み付け方法:
モータ用電源の正極(赤線)をモータドライバーボードの「VIN」、負極(赤線)をモータドライバーボードの「VOUT」にそれぞれ接続します。
接続方法としてはモータドライバーボードのコネクタ上部のネジを「マイナスドライバー」で開け閉めすることで可能です。
- モータの組み付け(配線)方法:
モータの正極とブレッドボードの電源用ブロック、負極とブレッドボードのグラウンド用ブロックをジャンパワイヤ(※)で接続します。
モータとジャンパワイヤの接続は「ラジオペンチ」で行います。ジャンパワイヤをモータの端子部分に巻き付けて「ラジオペンチ」で圧着します。
ブレッドボードの電源用ブロック、グラウンド用ブロックはそれぞれ赤と黒のラインで印字されており、間隔の狭い穴同士が1つのブロックとなります。
(※)Kuman社の電子工作入門キット(35個)の付属品
- モータドライバーボードの組み付け(配線)方法:
モータドライバーボードの「MA1」と「MA2」が、1つ目のモータの正極(赤線)と負極(黒線)にそれぞれ接続されるように配線します。
同様に「MB1」と「MB2」を、2つ目のモータに接続されるように配線します。
- 注意点: モータ用電源の正極(赤線)と負極(赤線)を逆に接続することで、モータドライバーボードやRaspberry Pi本体が故障する恐れがあります。モータの配線を誤って逆にした場合は、モータが想定と逆向きに回転します。この場合、配線し直すかソフトウェアで対処する必要があります。
10. Raspberry Pi用電源(モバイルバッテリー)の組み付け
- 商品名: Charmast 10400mAh モバイルバッテリー 大容量 薄型 軽量 小型 コンパクト Type-C 18W PD対応 QC3.0 急速充電 3出力ポート 【PSE認証済み】 iPhone Android対応
- 特徴: 5V/3AのUSB出力ポートを搭載しており、サイズはちょうどユニバーサルプレートの幅に収まるため、Raspberry Pi 3 MODEL Bを搭載したロボット用として最適です。
- 使用する道具: 「ニッパー」「結束バンド」
- ロボット本体への組み付け方法: モバイルバッテリーと40ピンリボンケーブルを結束バンドで固定するのみです。
結束バンドは3つを繋ぎ合わせて長さを調節しています。 - 注意点: 付属のUSBケーブルは短いため、別売りの3A出力に対応したUSBケーブルを使用しています。結束バンドを締めた後の余った部分はニッパーで切り落としています。
- 写真(左:組付準備1、中:組付準備2、右:本体への組み付け):
11. USBカメラの組み付け
- 商品名: LOGICOOL HDプロ ウェブカム C920
- 特徴: USBビデオデバイスクラス(UVC)モードに対応しており、Raspberry Pi本体のUSBポートに差し込むだけでUSBカメラとして認識されます。
- 使用する道具: 「ニッパー」「結束バンド」
- ロボット本体への組み付け方法: USBカメラとユニバーサルプレートを結束バンドで固定するのみです。
結束バンドは3つを繋ぎ合わせて長さを調節しています。 - 注意点: USBカメラのUSBケーブルが長いため、そのままでは地面と接触して走行の妨げとなります。そのため、ある程度の長さで束ねて本体に乗るように調節する必要があります。
- 写真(左:組付準備1、中:組付準備2、右:本体への組み付け):
これで、「知能・制御系」を担うRaspberry Pi、「センサー系」を担うUSBカメラ、そして「駆動系」を担うモーターを全て搭載したロボットの本体は完成です。
ロボット本体の組み立てが完了したら、Raspberry Pi上でロボット制御用のソフトウェアのプログラミングをします。
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