PyQt5で複数タブ間の情報を制御する方法

GUI

PyQt5で作成したGUIウィンドウで、メインタブのイベントをトリガーとして、複数タブの情報を制御する方法を紹介します。

開発環境は以下の通りです。

1. アプリケーション概要

具体的な制御方法の前に、実際に作成したアプリケーションの概要を紹介します。

アプリケーションのソースコードはGitHubで公開しています。

入力ファイルの構成と処理概要は以下の通りです。単体テストコードを自動生成するアプリケーションを開発する過程で作成したもののため、関数名や引数名、データ型名などを情報として持っています。

（入力）

ファイル名（コマンドライン引数を指定することで変更可能）	記載内容
func_info.csv	関数名と、その関数で使用される引数、グローバル変数名が記載されている
args_info.csv	引数名とデータ型が記載されている
gl_vars_info.csv	グローバル変数名とデータ型が記載されている

（処理概要）

（GUIイメージ）

タブの追加する方法に該当するソースコードは、pyqt5_tabs_test.pyのウィジェットの定義（# define tabs widgets）からタブ追加（# add tabs）になります。

（手順）

PyQt5では、オブジェクト間の通信に「シグナル」と「スロット」を使用します。（「シグナル」と「スロット」の詳細についてはリファレンスガイドをご覧ください。）

本記事で紹介したアプリケーションにおける「シグナル」のトリガーと、「シグナル」の「スロット」として登録したメソッドは以下の通りです。

タブ名	「シグナル」のトリガー	「スロット」として登録されたメソッド	処理内容
main_tab	リスト内アイテムがダブルクリックされる（QListWidget.itemDoubleClicked）	MainTab.list_click	クラス内のフィールド（関数名）に反映「シグナル」MainTab.procStartの生成
main_tab	MainTab.list_click関数内で「シグナル」が生成される（MainTab.procStart.emit）	Sub1Tab.update_table Sub2Tab.update_table	クラス内のフィールド（データフレーム形式のテーブル情報）に反映サブタブのテーブル情報を更新
main_tab	”Quit”ボタンを押下（QPushButton.clicked）	QCoreApplication.instance().quit	処理を終了する
sub1_tab sab2_tab	テーブル情報を更新（QTableWidget.cellChanged）	cell_change	クラス内のフィールド（データフレーム形式のテーブル情報）に反映
sub1_tab sab2_tab	”OutputCsv”ボタンを押下（QPushButton.clicked）	output_csv	テーブル情報をcsv形式で出力
sub1_tab sab2_tab	テキストボックスに文字入力（QLineEdit.textChanged）	set_csv_file_name	クラス内のフィールド（csvファイル名）に反映

１, ２行目に記載したprocStartをメインタブクラス内で定義して、サブタブクラス内のメソッドを「スロット」として登録することで、表題の機能を実現することが可能です。

「スロット」を登録するソースコードは、pyqt5_tabs_test.pyのスロットの登録（# define original signal to slot）が該当します。メインタブとサブタブは別々のクラスで実装しているため、「スロット」として登録する際には、メソッドの参照を渡します。